先週お客様から、こんなメールを頂きました。
ご教示ください。
愛媛県の80歳女性が、12億円の特殊詐欺被害に遭ったとの報にビックリです。
個人で12億円以上も蓄える「術」を知りたいですね。
NISAも個人型iDeCoも短期間で資産形成するのは難しいですよね。
ご主人が愛媛の土建屋さんで資産を築き、それを相続したとかでしょうか。
その場合でも税理士さんとか身近にいたと思われるし、想像が膨らみます。
この事件は、愛媛県の80代女性が、約12億4千万円をだまし取られたというもので、
個人の特殊詐欺被害としては最大の額だそうです。
“ご教示”の内容を整理すると、以下のようになるかと思います。
1.12億円をNISAやiDeCo、投資で作るのは難しいか。
2.12億円にする「術(すべ)」
3.なぜ、12億円も被害にあったのか。身近な人は気づかなかったのか。
良いご質問を頂きましたので、シミュレーションしてみました。
NISAで12億円作れるか
NISAの年間投資枠は《成長投資枠240万円》《つみたて投資枠が120万円》合計360万円、
一生涯で1800万円が上限です。5年間毎年満額投資し、以後は運用のみとします。
積立て期間中も運用期間中も、年率10%(米国S&P500 の利回りを参考としました。)
5年間で上限いっぱい積立て、以後はNISA口座を崩さず複利運用だけです。
年率10%の利回りはかなりハードルが高いのですが、
50年後には12億円に届くかもしれません。
しかも、NISAは投資元本1800万円が12億円になっても税金は一切かからない。
こうしてみると、改めてNISAの凄さ、複利効果に驚きました。
いかに早いうちに、1800万円枠に投入できるかです。
iDeCoで12億円作れるか
iDeCoは、自営業の場合年間81.6万円が積立上限で、
最大65歳まで積み立てが可能ですので、65歳までの積立期間により異なります。
積立期間中の利回りは年率10%とします。
年額81.6万円を50年積み立てても、約9.5億円で12億円は難しい。
ただし、所得控除分をNISA等で運用するなど組み合わせると届くかもです。
iDeCoは来年から、積立額上限、積立期間も70歳未満に変わる予定です。
※上記シミュレーションは、年利10%(複利・年1回計上)で計算した概算値です。
実際の運用成果は市場環境により変動し、元本を保証するものではありません。
12億円にする 術(すべ)と資産防衛 術(じゅつ)
著名な投資家テスタさんのように株式集中投資とかであれば、
可能かもしれませんが、12億円を積立投資だけで作るのは現実的ではありません。
そもそも、年率10%の利回りはかなり高い目標ですよね。
詐欺被害にあわれた女性は、約1ヶ月半という短期間に、
数十回にわたって指定された口座へ送金させられました。
被害女性はもともと資産家であり、多額の現預金を持っていたと報じられています。
この女性のように元々資産家だったり、
相続や事業による資産でなければ12億円を一代で築くのは難しいと思われます。
「どうやって12億円貯めたのか」という好奇心と同時に 、
自分が同じような被害に遭わないためには「どう守るか」
という不安を感じられたのかもしれません。
金額の大小に関係なく、誰でも狙われる可能性があります。
詐欺師は『誰にも相談してはいけない』と巧妙に孤立させるのが常套手段だそうです。
高齢になると、お金のことだけでなく、
さまざまなものの管理がだんだん億劫になってきます。
今までなら税理士や第三者に相談したものを、
認知能力や判断力の低下で思い至らない。
「自分は騙されない、大丈夫」は危険な落とし穴かもしれません。
資産防衛のシステムを作っておく
今後10年、20年先まで「判断力が揺らいでも機能する」システムを作ることが肝要です。
・固定電話:「留守録」や「この通話は録音されます」 に設定し、すぐに対応しない。
・スマホやメール:不明な発信者からのものには出ない。
※先日確定申告後、税務署から「お尋ねしたいのでこちらの番号に掛けて下さい」
との留守電があり言われた番号ではなく、
所轄の税務署の番号を調べて掛けたところニセの電話と分かりました。
・二人三脚の管理:銀行によっては、高額な出金や振込が発生した際に、
事前に登録した家族のスマホへ通知が飛ぶ「見守りサービス」があります。
家族信託の活用で、受託者(子供など)に管理権限を一部移し、
法的に勝手な処分ができないようにする。
・即時決済の回避: 「即日送金」ができないように、
解約に数日かかる投資信託等に預ける。
証券会社のお金は最低でも手元に換金できるまで4日以上かかります。
・お金の置き場所は複数:高額になれば「現金」「銀行預金」だけにしない。
リスクを取り運用したお金であれば、今まで〇〇年かけてこれだけ増えたのに、
本当にこの使い方でよいのだろうか。と、考えると思います。
被害にあわれた女性は、よほどの資産家で12億円はほんの一部だったのでしょうか。
銀行は疑いもなく何度も送金に応じたのか、疑問が残ります。
「お金の管理」は、若いうちから慣れておくことが大切です。
・何のためのお金なのか
・自由になる資金をどのように使うのか
・自分で管理が難しくなったとき、どこに・誰に託すのか
身近に相談できる存在がいることこそ、最大の防衛策ではないでしょうか。
「守ること」と「使うこと」の大切さ、詐欺で取られるくらいなら使ってしまいたいと、
思わせる事件でした。