FIREの根拠となった4%ルール
平賀ファイナンシャルサービシズのモットーは、
『枯渇ない財布を持とう!』です。
打ち出の小槌のような財布があれば安心して使えますし、
空にはなりません。
実は資産を引き出しても減らない方法が・・・、ありました。
1998年に米国のトリニティ大学で発表された資産運用に関する論文で、
資産を年利4%で運用しながら、その運用益を生活費として使って行っても減らない。
『トリニティスタディ』と言われる、4%ルールです。
長年『枯渇ない財布を持とう!』を標榜していても、こんな4%ルールがあることを知ったのは最近のことです。
トリニティ大学の3人の教授が過去69年間のデーターを基にした研究です。
いま米国では、節約しながら投資に励む
FIRE (Financial Independence Retire Early)がブームだそうです。
早期に経済的なリタイアを果たす。
労働収入だけに依存せず、資産運用益で生活する。
日本の若者もFIREを目指す人が増えているようです。
根拠となるのが4%ルールで、
『年間生活費の25倍の資産があればその資産を4%で取り崩しても30年間資産が減ることはない。』
例えば、毎月の生活費が20万円であれば、
20万円×12ヵ月×25で、6,000万円あればよいことになります。
FIREの相場は7,500万円で、毎月の生活費は25万円と言ったところのようです。
自分の生活費をいくらに見積もるかにより、必要資金は違ってきますが、
まずは、年間に必要とする生活費の25倍を作らなければなりません。
基本は年間引き出し率4%
金融資産を株式と債券50:50で持って引退した場合、
毎年4%ずつ取り崩して行っても、30年後96%の確率で残高が残る。
上図の意味するところは、
株式75%、債券25%では、毎年4%ずつ取り崩しても30年後残高が100%残る。
株式と債券を50:50で3%ずつ取り崩しても残高がゼロにはならない。
2018年に上記のデーターが更新され、
それによると株式債券50:50では、30年後の数字が96ではなく、100(残高は0にならない)となり、
より心強い結果です。
ただし上の表は米国株と米国債券の組み合わせです。
世界株や日本株、国内債券との組み合わせでは違ってきます。
年金生活者に心強い4%ルール
早期リタイアでなくても、年金生活者には4%ルールは一考の余地があります。
例えば、毎月の生活費30万円を確保したいが、世帯合算の年金額が22万円なので8万円足りない。
毎月8万円を取り崩すには一体いくら元金があれば、安心して使えるのか。
セゾン投信のシミュレーションを使い、4%ルール(年利回り4%)当てはめると
取崩し開始時の金融資産が2,400万円あれば、8万円を引き出しても、
「60年経っても資産の寿命はつきません」と出てきます。
シミュレーションは、順番に数字を入力するだけで簡単に出てきますので、
貯蓄目標を決めるのにも参考になります。
下の図は、1,500万円あれば60歳から毎月5万円を取り崩しても元本が尽きないことが分かります。
安心しませんか。
どんなに資産があっても取り崩すことで減って行くのでは、なかなか使えないものです。
安心して使えるのは、『枯渇ない財布』から零れ落ちてくる分だけです。
4%ルールでは、元のお金が減らないことに最大の意義があります。
4%ルールの注意点
ただし、4%ルールは万全ではありません。
保有する金融資産(株と債券)から4%を取り崩すとしても、
税引き後の手取りで見なければなりません。
NISA口座以外では、収益の20%のが税金です。
例)2,400万円×運用益5%=120万円、そこから20%の税金を引くと96万円で月額8万円の受取です。
つまり、年平均5%運用にならなければなりません。
4%ルールはあくまでも目安に考えて下さい。
2,400万円の資産を毎月8万円取り崩そうと計画したとしても、取崩し額を5万円に抑えると、
5万円の取崩しと年金の22万円との合計で27万円になる。
毎月の生活費は30万円には3万円足りないが、ちょっとだけ節約しよう。
その方が安心して取り崩せる。
4%ルールを参考にリタイア後の取崩しプランを作ってみて下さい。
投資先も、米株と米債券でなくても、iDeCoやNISAでの投資経験を生かすと、
自分なりの達成可能利回りが掴めます。
確定拠出年金もNISAも長く運用を続けることで、
リタイア後のお金の使い方、4%ルールの取崩しも出来るようになります。
運用経験があってこそ4%ルールは使いこなせます。