12月1日から、個人型確定拠出年金iDeCoの制度が一部改正されます。
iDeCo掛金上限引き上げ
該当するのは、勤務先で「確定拠出年金」「確定給付年金」に加入している人と
公務員で、上限が2万円となります。
![2024年12月からのiDeCo《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=699x10000:format=jpg/path/s0ce7be6b61cdaab8/image/i3202684227fa88af/version/1733728174/2024%E5%B9%B412%E6%9C%88%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AEideco-%E5%B9%B3%E8%B3%80%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B7%E3%82%BA-%E6%A0%AA.jpg)
「確定給付年金」には、私学共済年金等が含まれますので、
該当しそうな方は勤務先に確認して下さい。
公務員の方で、1万2千円よりもう少し掛けたいという人には朗報ですね。
国民年金第1号被保険者の方は6万8千円、第3号被保険者は2万3千円、
勤務先に厚生年金以外の企業年金がない方は2万3千円と従来通りで変更はありません。
また、今回の改正で iDeCo加入時や離転職時に必要だった事業主証明書が不要になり、
iDeCoも少しは使い易くなりそうです。
とはいえ、企業型の上限5万5千円と比べると
サラリーマンにとってiDeCoは不公平感が残るかも知れません。
また、企業型掛金は月額3,000円からなので、
状況によっては3,000円まで落とすことができます。
![iDeCoと企業型確定拠出年金《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=670x10000:format=jpg/path/s0ce7be6b61cdaab8/image/ib4958da46b667011/version/1733728408/ideco%E3%81%A8%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%9E%8B%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E6%8B%A0%E5%87%BA%E5%B9%B4%E9%87%91-%E5%B9%B3%E8%B3%80%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B7%E3%82%BA-%E6%A0%AA.jpg)
ちょっと驚いたのがiDeCoの次なる改革案です。
iDeCo掛金上限20万円
新聞によると、資産運用立国を推進する議員連盟は、
個人型iDeCoの限度額拡大を提言とあります。
提言案では、
・第1号被保険者の拠出上限を月6万8000円から、20万円に
・会社員など企業型確定拠出年金DCは、月5万5000円から月10万円に
引き上げることを盛り込む、とあります。
企業型DCの上限が変わると、第2号被保険者のiDeCoも連動して変わると思われます。
第1号被保険者は、自営業、個人事業主、フリーランスの方です。
今後予想される厚生年金加入者範囲拡大で対象とならない方をより厚遇する。
第1号被保険者は、20万円まで引き上げても掛け金を払えるとの目論見でしょうか。
厚生年金との受給額の差が指摘される中での上限引き上げ提言なのでしょう。
企業型DCの上限も今のほぼ倍額です。
こちらも、米国の401Kの月額上限が約27万円、
更に物価上昇に合わせて拠出限度額が増える仕組みなのと比べると
改定案は一歩前進でしょう。
~企業版DCでは、預貯金や保険といった元本確保型が運用全体の4割を占める状況を鑑みて、
投資信託など足元の物価上昇局面でも長期的な資産形成に適する商品を選択できるように求め、
所得控除の税制優遇措置と整合性を図る。~
確定拠出年金はwin winの制度
折角企業型DCのある会社で加入者となっていても、
4割の人が低金利の元本確保型に長年預けているのは確定拠出年金の主旨にそぐわず、
税控除のみを目当てと言われても仕方ありません。
企業型DCでも、iDeCoでも掛金は税金の対象とならない所得控除があります。
これは政府は個人の老後資産作りを税優遇措置で支援する意図です。
確定拠出年金の掛金が上がると、その分非課税額も大きくなりますが、
反対に国の税収は減ります。
税収減を補って余りあるのが、
個人が老後生活を国や行政に頼らずとも過ごせることだと思っています。
インフレを前提とした社会では、物価上昇を上回る適切な預け先を選び、
真に役立つ老後資金とならなければ、税制優遇と整合性を持てません。
投資信託を通じて企業に投資された資金により、企業の収益が伸び、
そこに働く従業員の賃金が上がり、経済のパイが大きくなり、
国には、個人も法人も納税という形で還元される。
この循環が生まれることが、単に個人の資産作りだけではない、国が目指すもう一つの姿です。
改革案には、投資信託など物価上昇に耐えうる商品選択を促すとのこと。
これは確定拠出年金掛金の初期設定デフォルトを定期預金ではなく、
年代ごとに合った投資信託にすることなのかも知れません。
資産運用立国を推進する議員連盟による、iDeCo・企業型DCの改定案に注目しています。