ネットにするかIFAにするか

 金融商品の値段

土地の値段は一物三価(時価・公示価格・路線価)と言われます。

ひとつの土地なのに、目的が異なると値段が違ってきます。

土地だけではありません。

大根だって、直売場や近所のスーパー、デパ地下で買うかで値段は違います。

モノの値段は一物一価の方が少ないのかもしれません。

店頭で買うのと、ネット通販の差だって、当たり前に受け入れています。

では、金融商品の値段はどうでしょう。

金融商品の値段なんて普段気にすることは無いかと思います。

そもそも「金融商品」って何?ですよね。

株式や債券、投資信託、銀行預金だって金融商品と言えます。

生命保険も一時払いや外貨建て保険、年金保険など

保障性保険でないものは金融商品の仲間です。

これらの金融商品には値札が付いていて、一目で分かるようになってはいません。

株式や債券の値段は、投資額とは別に購入時や売却時にかかる手数料です。

投資信託では購入手数料だけではなく、信託報酬も値段に含まれます。

銀行預金は、ATMで引き出す時も、送金にも手数料が発生しますよね。

これからはペーパー通帳を作るにも、費用が掛かります。

預金金利は、銀行の様々なサービス対価を引いた利率となり、

みんな銀行口座を維持するためのコスト値段です

生命保険会社が取り扱う貯蓄性保険の手数料は内税方式で、

会社の費用と運用に回る分が明らかでないので、購入者は値段が分かりません。

金融商品を手にするためにかかる費用維持コストは値段とみることが出来ます。

 

 金融商品の値段をどう見るか

楽天カードで投資信託積立てをしている人の間で「改悪」と叫ばれているのが、

楽天ポイントの引き下げです。

クレカの還元率が、9月買付分から一部1%→0.2%と1/5に引き下げられます。

投資信託積立で今人気の「米国S&P500」インデックス投信の値段は、

販売手数料0円、信託報酬は0.1%位です。

「米国S&P500」の積立残高が10万円あったとすると、

そこから発生する手数料は10万円×0.1%の100円です。

この100円が、投資信託「米国S&P500」の値段と言えます。

が、100円全額を楽天証券が受取れるわけではありません。

販売会社(銀行や証券会社)、運用会社(投信の管理運用メーカー)、

お金を預かる信託銀行の3者で分け合います。

更に、販売会社は、私のようなIFA(証券仲介業)が入ると1/2をIFAに手数料として支払います。

概算ですが(100円÷3)×1/2が、楽天証券の取り分で17円弱です。

そこからポイントを付与すると残りは7円位になります。

楽天証券はここから維持コストを引くと、、、儲けはほとんどありません。

これでは、ポイントの見直しも致し方ないのでしょう。

投資信託は、信託報酬の低下が続き サービスに見合う収益とならず消耗戦が続いている状態です。

 

 金融商品の値段を負担するのは

日本企業の低収益、労働生産性の低さの原因の一つは、過剰なサービス、

過剰奉仕で身をすり減らしているからとの指摘があります。

サービスはサービスであって、対価を伴わないは正解でしょうか。

値段は「コスト+利益」のはずです。

同じものを買うのであれば、確かに高いよりは安い方が良いのでしょうが、

利益度外視の価格設定には、サービスの低下や、人件費のカットがあるとしたなら

何処かにしわ寄せがきて、結局悪い方向に向いてしまいかねません。

問題は近年、投信は値段である販売手数料ゼロ、信託報酬も低下が続き、

対面での販売が難しい状況がますます強まっていることです。

「確定拠出年金」や「つみたてNISA」では特に顕著で、販売金融機関は、

iDeCoやNISAのために人を割くことができず、

折角の良い制度であっても紹介されず普及促進されていません。

対面で口座開設の手続きを丁寧に案内してもらい、

投信の内容説明だけでなく、リスク・リターンの概要も説明され、

自分に合った商品の提供がされるのであれば、

サービスの対価に見合う手数料の請求があっても良いはずです。

逆にネット経由で、全て出来るのであれば安く買えます。

ネット以外で口座開設をし、投資を始めようとすると、

信頼できるIFAに納得の行く相談料を払ってとなります。

IFA( Independent Financial Advisor )は、

独立系のファイナンシャルアドバイザーと訳されますが、

単に証券仲介ではなく、投資運用の基礎のレクチャーから、

ファイナンシャルプランニングを共に考え、その上で投資商品をご提案します。

因みに英国では、銀行で投資信託は売っていません。

投信の購入は、相談料を払ってIFAからが半数です。

勿論、IFAには販売会社からのキックバックもありません。

投資を始めようとした時、ネット経由で完結するか、対価を払ってIFAに相談するか、

これからはこの2極化が進みそうです。

サービスの提供には対価が存在するという当然の意識を国民に定着せねばならない。とは、

日本がこれ以上貧しくならないためにも変えなければならない概念なのでしょう。

それにも増して、「企業型確定拠出年金」をすべての事業所で導入するようになれば、

もっと簡単確実に投資運用が身に着き、成功体験を享受できるのにと、思う日々です。