87歳、ひとり暮らしを愉しむ

YouTubeを見ていると《earthおばあちゃんねる》に行き当たり、

素敵なインテリアに惹かれ、〝本を出しました。〟で、探しました。

近所の2つ書店では見つからず、いつもなら即アマポチしてしまうのですが、

手に取ってみたかったので、有楽町の三省堂書店でようやく見つけました。

本のタイトルは、『87歳、古い団地で楽しむ ひとりの暮らし』です。

 

『87歳、古い団地で・・・』以外にも、

『60代 月12万円の一人暮らし』、

『71歳 年金5万円で工夫する』とか、

『89歳 お金がなくて・・』、

『90歳になっても、楽しく生きる』

(こちらは樋口恵子さんの著書でした。)

 

サブタイトルにも、

・71歳 年金5万円、あるもので工夫する楽しい生活

・節約は知的な行為 

  食費は月1万円を始めたらいいことだらけ

・お金がなくても幸せな日々の作り方

 

高齢おばあちゃんのコーナーが出来ていて、

どの本をパラパラとめくっても、

へぇ~、みんな賢い、凄いなぁ。

そんなに広くないお住まいもセンス良く、

生活ぶりも素敵です。

どれにしようか、迷います。

総務省統計によると、65歳以上の男性の8人に1人、女性の5人に1人が一人暮らしです。

日本の世帯構成で一番多いのは単身世帯で、標準世帯と言われた夫婦と子供世帯を2005年に逆転しています。

1人暮らしは、マイノリティではなくマジョリティになりました。

パラパラとめくった中に、高貴香麗者(後期高齢者)の文字がありました。

心がけでしょうか、脱帽です。

いろいろ迷いましたが、87歳の多良美智子さんの本にしました。

 

 87歳の日々

《earthおばあちゃん》こと、多良美智子さんは、7年前にご主人を見送ってからは、

神奈川の団地で1人暮らしです。

55年前の新築当時から、一度も引っ越したことなくずっと賃貸で、

マイホームを持ちたいと思ったことは、一度もないとのことです。

3DK,50㎡のお部屋は、どの写真を見ても多良さんの大切なものに囲まれ、

居心地良く整え、愛着があり、どこよりも素敵な「城」なのです。

多良さんは、この古い団地の4階にお住まいですが、

エレベーターがないので最低でも日に2~3回階段を上り下りしますが、辛いと思ったことはないそうです。

毎朝5時に起床し、日課のラジオ体操はなんと第1第2をこなし、その後は散歩です。

日々のスケジュールとしては、家事の外に団地の花壇の手入や、

週に1~2回の習い事、テレビやYouTubeを見る他、好きな針仕事や読書も欠かさず、

寝る前にレモン酢を飲んで、台所の排水溝の掃除をしてからベッドに入ります。

65歳の時に、1年間週5日調理専門学校に通い調理師免許を取得した多良さんは、

食の管理も調理もお手のもののようです。

食材を無駄にしないで使い切る。

キャベツやレタスの硬いところは味噌汁に入れ、だしを取った後の昆布は捨てずに冷凍し、

貯まったら佃煮にして食べる。リンゴの皮はスムージーにするので、ゴミが少なくゴミ出しも楽です。

 

 好奇心

新しい情報をチェックするのも楽しい。

認知症予防に役立っているかもしれません。と仰る多良さんは、

85歳の時に当時中学生だったお孫さんと一緒にYouTubeを始めました。

そのYouTubeがきっかけで本出版のお声がかかりました。

80歳でピアスをあけたり、イギリス旅行のツアーにもひとりで参加した。

家の近所の駅には本屋さんがなくなてしまったので、大きな駅に行くときは必ず本屋に寄る。

ミステリーから雑誌まで月に6~7冊は読むそうです。

仲間同士で回し読みをするのでお金はそんなにかからない。

コロナ過で貰った10万円の給付金は、「貯金したら経済が回らないから、ここは使おう」と、

インターネットに接続できるスマートテレビを買いました。

この発想凄くありませんか。87歳ですよ。感服しました。

ipadも買い替え、これで花壇の花を撮ったり、次男親子とLINEで「リモート夕食」をしている。

便利な電子機器は若い人のためのものだと思っていたが生活が便利で豊かになりました。

 

 愉しむ

豊かさって、楽しむって、何なのだろう・・、と考えさせられました。

仕事柄、日々お金の話しにアンテナを張り、このメルマガでも資産形成は大切、と伝えてきました。

ただ、そこだけに固執すると、味わうことのできない楽しさや豊かさを逃してしまうかも知れない。。。

多良さんのキッチンのシンクは狭く、まな板は縦にしか置けません。

それでも50年以上使いつづけ、真似したくなるお料理が出来てくるのです。

仏壇やお部屋に飾られたお花も花壇やベランダで育てられたもので、

買ったものではなく、雑草が主役と仰いますが、なごみます。

資産形成には、おのずと限界があります。

目指した目標に届かないことだってあります。

だからと言って、生きて行けないわけではありません。

置かれた状況の中で快適に健やかに生きる知恵は出てくるもののようです。

どのような人生を送りたいのか。

金融資産はどう使いたいから、いくら必要なのか。

金融資産に何を求めるかを明確にして行くと、お金ではない豊かさに巡り会える。

多良さんはおうち時間ばかりでなく、お金のかからない楽しみ、写経や絵手紙、麻雀教室、

「第九を歌う会」どれも愉しいことを見つけ、やろうと思ったことはすぐ実行に移す。

でも、出来ないことは諦める。

メリハリを持ったお金の使い方を愉しみ、先のことを心配し過ぎず今を愉しむ。

私も多良さんのような心がけと愉しみを持ち、老後を過ごしたいなぁ。