「日本沈没」と大谷翔平選手

2021年も残り僅かとなりました。

皆様にはどんな1年でしたか。

大きなイベント、行動変容、思い出に残るのはどんなことでしたか。

2021年、私の中で残りましたことは・・・

TBSドラマ「日本沈没」ご覧になりましたか。

SF作家小松左京氏の小説は1973年に刊行され、映画にもなりました。

今回の設定は2021年で、スマホあり情報技術も格段に進歩した現代です。

最初に巨大地震で湾岸地域が水没し、ようやく日本が沈没する運命にあることは

抗いようがない事実なことに気づきますが、残された時間は短くカウントダウンの常態に。

ドラマでは、1億2千万人の日本国民を世界中に移住させることに奔走する官僚の姿が描かれ、

日本人の民族大移動は成功のようでした。

はるか昔に見た映画では、

某国の首相の、“こんなに多くの日本人を受け入れると、もう一つの国家が出来てしまう”

のセリフが残っています。

 

 カウントダウンが始まってしまったのか

「日本沈没」は国土の話しですが、

日本が沈んで行く危惧を少なからぬ人が感じているように思われます。

日本はこの30年賃金が伸びないどころか、減っている。

平均賃金は、米国が約7万ドル、ドイツ、カナダが約5.5万ドルなのに対し

日本は3.8万ドル約420万円で米国の6割、韓国より36万円も少ない。

平均賃金と1人あたりGDP《平賀ファイナンシャルサービシズ㈱》

個人の豊かさを示す指標、

国民一人当たりGDPの順位は世界24位で、2027年には韓国、28年には台湾を下回ります。

12月14日の日経新聞記事、日の丸半導体「あと8年」か は衝撃でした。

半導体は産業のコメといわれ、現状半導体不足であらゆる製品完成が滞り、

今後ますます需要が高まるのに、日本のシェアが2030年にはゼロになる。

そう言っているのは、ほかならぬ経済産業省です。

「日の丸半導体」は、1990年まで世界シェアの50%以上でした。

それが、サムスンや台湾のTSMCにとって代わられ、やがては市場を失うのでしょうか。

確か、国も補助金を出し熊本にTSMCの大工場が出来、捲土重来のはずでは。

ところが、対象の半導体は10年前の技術らしく、

最先端の3ナノ製品を作る工場は米国で建設中とのことで、起死回生とはならないようです。

Japan as No1と言われた1980年代まで、

日本は半導体に限らず多くの分野で世界シェアトップを走っていました。

記事が衝撃的だったのは、沈みゆく半導体産業の愁いもさることながら、

産業衰退の一因が資本コストの差にあるとの指摘です。

 

 株式投資の意味するところ

ー当時、証券会社で半導体業界を担当した武者リサーチ(東京・港)の武者陵司代表は

「ハイテク敗戦というより金融敗戦だった」と振り返る。ー(2021.12.14日経新聞 日の丸半導体「あと8年」か)

80年代には日本企業は高い株価を背景に調達した投資資金を使い、

設備投資を繰り返し、半導体で世界シェア5割のトップに君臨しました。 

ところが、バブル崩壊後、株式からの資金調達が機能せず、設備投資が激減し

東芝もエルビーダメモリーも今はありません。

株式市場は企業にとって資金調達の場です。

返す必要のない投資資金は設備投資の心強い財源です。

株式市場で調達した資金を使い、80年代までの日本企業は発展し個人も潤ってきました。

80年代、日本と半導体シェアを争った米国の株式市場は、

その後GAFAなどの巨大企業の出現で、世界中から資金流入が続き株式市場は

個人にとっても大事な資産形成の場となりました。

ー今や市場は資金調達の場ではなく、資金を返す場に転じ、

株主還元→株価上昇→家計の資産価格上昇→消費の拡大→企業の利益増の循環を生む。家計の貯蓄が銀行経由で企業融資に回る、旧態依然とした資金循環ではないのだ。ー(2021.12.14日経新聞 日の丸半導体「あと8年」か)

 

株式が生み出す好循環《平賀ファイナンシャルサービシズ㈱》

 個人として沈没を防ぐ手立て

旧態依然とした資金循環・・・、個人でもほんの少し変えることができます。

と、言うのがこのメルマガでもお伝えしてきたことです。

「産業衰退の一因が資本コストの差」すごく大切な視点ですが、ピンときませんよね。

「資本コストを高める」、個人でも出来ることがあります。

それは、日本企業を見捨てないで、国内株式に投資することです。

確定拠出年金やNISAの投資信託を通じての日本株投資でいいんです。

確定拠出年金やNISAからの投資マネーは塵みたいに小さなものかもしれません。

でも、それすらまだ数パーセントに過ぎません。

もっと多くの人に参加して欲しいのです。

株式市場は、企業に直接資金を供給する場であり、個人にとっては資産形成の場です。

国土の沈没は、サイエンスフィクションかも知れませんが、

そこに住む日本人が世界標準から取り残され、沈んでいいはずはありません。

「台湾では、みんなスマフォを片手に楽しそうに株取引してるよ。」は

FPの友人の弁です。

デジタル化の遅れも気になるところです。

ー日経センターは、

デジタルトランスフォーメーション(DX)の成否が、

労働生産性の伸びに大きく影響するとみる。

韓国、台湾と日本で異なるのはDX推進の土台が

整備されているかどうかだ。

韓国や台湾は行政手続きの電子化などを整備してきた。

日本は押印やサインなど

企業間取引のアナログぶりがなお目立つ。ー

2021.12.16日経新聞 日韓、27年に逆転、一人当たりGDP

「マイナンバーは個人情報が洩れるので、、」ではなく、メリットの大きさ、

ここも個人の意識を変えなければならない場面化もしれません。

DXを推進することで16兆円の経済効果があるとの試算もあります。

 

 たった一人でも

ドラマの「日本沈没」では、

日本人は優れた技術を持つ企業の移転とセットで世界中に移住して行きます。

そしてそれぞれの地にジャパンタウンを作り、根を張り日本民族は生き残る。

「日本沈没」は決して未来の無い話ではありませんでした。

今年、ピッチャーと打者の二刀流で大活躍のエンジェルスの大谷翔平選手。

たった一人で、日本の価値をどれほど高めてくれたことでしょう。

二刀流なんてありえない、ただそれを覆すだけではなく、

圧倒的な成績、強さで、野球を知る人だけではなく、

マナーの良さや気質も含め世界中に日本人大谷翔平選手は知れ渡りました。

大谷選手のように、たった一人でも世界中にアピールすることも、

日本以外の何処に居ようとも、日本人として生きることもできます。

日本にはまだまだ世界を驚かせるパワーがあります。

技術も、人も、企業も、優れた誇れるものです。

2022年は、官も民も今まで出遅れてしまったところ、

修正すべきところをはっきりさせて、千里を駆ける勢いで臨みたいものです。

平賀ファイナンシャルサービシズ(株)は来年も、出来ること

「老後不安を無くす」信念で、

確定拠出年金、NISA の普及促進に取り組んでまいります。

来年もよろしくお願い致します。