日本ほど株式投資が大衆化された国はない

 幸之助翁の説く1億総株主化計画

「ウーバーヘリコプターとスペースXの株を買いたいの」

ジュニアNISA口座をお持ちの

インターナショナルスクールに通う高校生からの質問です。

残念ながら、ウーバーヘリコプターとスペースXはまだ上場していませんので買うことができません。

アメリカの株式を買いたいの?

ウーバーヘリコプターとスペースXが上場するときはナスダック市場だろうね。

諄々と話すと、理解でき「 NASDAQ100インデックス」投資信託の積立をすることになりました。

高校生でも証券口座の開設も取引も出来ます。

ジュニアNISA以外でも、

投資信託やそれこそ米国株式でも買うことができます。

それにしても、日本の高校生がスペースXやウーバーヘリコプターの株を買いたいなんて発想するかなぁ。

大人だって、株式投資をしている人は少数派です。

いつも、かの国と日本の株式投資に対する感覚の違いに、嘆息してしまいます。

そして、この言葉に行き当たりまたまた忸怩たる思いです。

〝今日のわが国では株を持っている人の数は非常に多く、終戦後は全世帯の3分の1が株主だったと言えよう。

おそらく日本ほど株主が大衆化された国はないのではないか。 〟

〝それが社会全体に潤いを与え、経済活動が活発に行われる原因になっている。〟

1967年に発表された松下幸之助氏の論文です。

〝投資した株式から受ける利益だけではなく、

投資することによって産業が興隆し社会が繫栄するところから起こる、

いわゆる社会共同の利益なり恩恵を受けることができる。

つまり大衆は株を持つことにより二重の利益を受けることが出来るわけである。 〟

半世紀前にそう主張したのが、経営の神様と言われる松下幸之助氏です。

株式投資の意味するところ、意義を端的に語り、政府、経営者、株主、証券会社のあるべき姿を説いた、

名論文です。

幸之助翁は、

こういうことを、政府は国家百年にわたる経済の基本政策の一つとして、

すすめてゆかねばならないと思う、と「1億総株主化計画」を唱えています。

「悲産運用」著者の橋本卓典氏は、米国は国家戦略として、

確定拠出年金を通じ自動的に株式投資に誘導してきた。

まさに、米国は松下が50年前に提言した内容を実践してきたのではないか。

米国こそが「1億総株主化計画」を実行に移したのだ。と述べています。

 

 1億総NISA化計画

かつての日本は、全世帯の3分の1が株式を普通に持つほど大衆化されていました。

日本は株式投資に対して、どこで違う方向を向いてしまったのでしょう。

確定拠出年金が始まって20余年ですが、普及は大企業に偏り、

投資先の半数は、元本確保型に滞留したままです。

NISA制度は2014年から始まりましたが、普及率は2割そこそこのようです。

すべての国民が使える税制優遇のある制度にも関わらず、

広く利用されていない理由の一つは「株式投資」への誤った認識にあると思います。

それも、驚くほど時代遅れで、社会経済の発展を妨げかねないものです。

もう一度かつての日本のように、株式が大衆化されたものにならないものでしょうか。

まずは、株式投資の第1歩は「確定拠出年金」から始め、

「1億総NISA化計画」は、幸之助翁の意向に沿うのではと思っております。