投資運用の目的は退職後の生活資金を作り

 桁違いの個人金融資産

仕事柄とはいえ、「お金の話し」にはつい目が行きますが、さすがにこの数字には唸りました。

アメリカの話しです。

米国の家計が保有する個人金融資産総額って、いくらあるかご存知ですか。

因みに日本は、日銀が2021年6月25日に公表した資金循環統計によると、

昨年は130兆円の大幅増となり、1964兆円です。

コロナ禍で消費が抑制されたこと、一律10万円の特別定額給付金などで

預金が積みあがったようですが、1年で130兆円も増えるなんて!

ところが、米国の家計資産は 2020 年だけで 1494 兆円 増えたとのことです。

FRB(連邦準備制度理事会)が公表した資金循環統計によれば、

米国の家計が保有する金融資産額は1京2000兆円(109兆ドル)で、

日本と同じく過去最高額を更新しています。

米国の人口3億2千万人は日本の約3倍です。

個人保有の金融資産割合で見ると、米国の1京2000兆円は、

日本人の1964兆円に対し約6倍です。

日本人が積み上げてきた1964兆円の個人金融資産に近い額の1494兆円を

僅か1年で築いてしまったのです。

日米金融資産比較《平賀ファイナンシャルサービシズ㈱》

米国も、コロナによる給付金が資産増加の一要因ですが、

それ以上に株高による保有株式と投資信託の評価が大幅に増えたことが要因です。

 

お金の置き場所の違いだけで

それにしても、この増え方の差はもっと注目されてしかるべきです。

労働による収益ではなく、保有する資産からの収益です。

株式や投資信託などのリスク性資産の保有割合の差から来るものです。

日本は現金・預金の比率が54.2%で、株式と投資信託の割合は合計で13%に過ぎません。

米国の現金・預金は13.7%で、保有割合が多いのは株式、投資信託の44.8%です。

更にいえば、米国の保険・年金は投資信託で運用されます。

日本の生命保険や個人年金は、投資信託で運用される変額保険は少数で、

満期まで固定の予定利率が0.5%、0.25%の定額保険が主流です。

日本の金融資産は現金・預金と保険年金、合計で82.6%が低金利の確定利回りのものです。

値動きのある株式や投資信託等の元本保証のないリスク資産は14.4%で、

個人のお金の預け先は米国とは真逆の構成です。

日米の家計の金融資産構成《平賀ファイナンシャルサービシズ㈱》

米国の株価指数が高値更新を続ける中で、家計金融資産が1年で1494兆円も増えたのは、

株式や投資信託がもたらしたものと言えます。

お金の置き場所の違いが、これだけの収益の違いとなります。

「貯蓄から投資へ」が呼びかけられ、確定拠出年金やNISAが整備されて来てはいるものの、

全体としてみるとお金の置き場所は依然として現金・預金で貯蓄から投資へ、シフトしていません。

金融界では リスク資産で100%運用しないと十分な収益を得られない困難な時代がやってきた。

と、までささやかれる中、じりじりとしたものを感じてしまいます。

 

米国の投資信託の殆どは非課税口座で購入

もう少し米国の話しを続けます。

米国の個人が何も金融資産の100%をリスク資産に置いている訳ではありません。

世帯におけるリスク資産の保有割合は44.8%で半分以下です。

投資信託の保有割合も、2000年時点では全世帯の45.7%です。

その投資信託も、保有世帯のうち約 9 割が税優遇口座を利用し、

逆に税優遇なしの口座のみで投資信託を保有する世帯は少数派です。

投資信託のほとんどが日本の確定拠出年金やNISA口座のように、

税優遇口座で買われているのです。

米国の非課税制度利用割合《平賀ファイナンシャルサービシズ㈱》

更に興味深いのは、投資信託の入り口は「確定拠出年金」が72%です。

米国における投資信託の初めの1歩は、401K(企業型DC)やIRA(iDeCoに相当)なのです。

米国における投資信託販売チャネル《平賀ファイナンシャルサービシズ㈱》

米国の例に倣うまでもなく、投資信託は「確定拠出年金」や「NISA口座」の非課税制度の中で利用する。

若い人なら、投資の第1歩は「確定拠出年金プラン」の積立から始める。

最初に、最大の非課税口座「確定拠出年金」を使うのは、理にかなった方法です。

 

投資運用の目的は退職後の生活資金

下の図は、米国の投資信託保有者に対するアンケート結果です。

投資信託を保有する目的は、圧倒的に《退職後の生活資金》ですので、

手段として「確定拠出年金」が最も適しています。

投資信託を保有する目的《平賀ファイナンシャルサービシズ㈱》

投資運用は、調子のよいときばかりではありません。

ただし、10年20年の長いスパンで見ると、決して棄損を心配するような投資先ではありません。

株価は企業の成長によります。

企業は利益の追求を続け、上場企業は利益を増加し続けないと上場を維持できないのです。

米国の代表的な株式指数S&P500の30年平均リターンは10%近いものでした。

株式からのリターンは長期には7%くらいに集約されます。

外国株式インデックス《平賀ファイナンシャルサービシズ㈱》

株式からの収益の大きさを見逃すことはできません。

給料の伸び率、定期昇給はこうはいかないですよね。

資産からの収益(r)の伸び率は、労働収入(g)の伸び率を上回る、 r>gです。

米国の資産の増え方は、r>gを如実に物語っています。

投資運用の目的は、退職後の生活資金作りです。

株式の力を信じ、その力を借りて、退職後の生活資金を作る。

退職後の生活資金を作るために、

せめて確定拠出年金やNISA口座くらいはもう少し利用されてしかるべきです。

皆様の周りにまだ「確定拠出年金」や「NISA」をご存じない方がいらっしゃいましたなら、

投資信託による長期運用では、資産は必ず増えるのですから、知らないなんてやらないなんて

もったいないですよ。と、

是非教えてあげて下さい。

《厚生年金でない人》こそ、「iDeCo」「NISA」でしっかり体側後の生活資金を作って下さい。

詳しくは、こちらの厚生年金がないでご確認下さい。