50年後の日本の姿は

 消費税減税

参議院選挙を前に、各党が消費税減税で足並みを揃えているようです。

国民民主党は消費税の一律5%引き下げ、食料品に限り立憲民主党は1年間税率ゼロに、

日本維新は2年間ゼロにする、自民党も食料品税率0%を検討とあります。

財源を見ると国民民主党は赤字国債発行とあり、他の党は不透明、不明です。

各党の消費税減税案《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

石破首相は「金利がある世界の恐ろしさを認識する必要がある」と述べ、

減税の財源を国債で賄うことに懸念を示しました。

「金利がある世界の恐ろしさ」威嚇的にも聴こえますが、

減税論者にはどのように響いたでしょうか。

預金利息が上がるだけではないのが、「金利がある世界」です。

 金利が上がるとどうなるのか

日銀は昨年3月にゼロ金利政策を解除し、現在の10年国債金利は1.5%前後です。

金利を上げる主な理由は「金融政策の正常化」と「物価の安定」を図るためで、

長年続いた異例の低金利・金融緩和政策からの転換です。

金利が上がると個人は預貯金利息が増え、

変動金利の住宅ローン金利は上がりますが、

マクロ的にはそれこそ懸念材料の方が多いのも事実です。

・金利が上昇すると、政府が新たに発行する国債の利払い負担が増え、

 財政赤字が拡大する。

・日本の債務はGDPの約2倍、金額で1324兆円と世界でも突出して高く、

 主要先進国の中で最悪水準で、このままの状態では格付けの低下も。

 ※ムーディーズは政府債務や利払い費が増加していることを理由に

  米国の信用格付けを最上位の「Aaa」から「Aa1」に引き下げました。 

・国債金利が急騰し、通貨安や金融市場の混乱リスクが高まる

 ※イギリスでは、財源なき減税策が「財政への信認」を大きく損ね、

 国債の暴落・金利急騰・通貨安などが連鎖的に発生(トラスショック)

・消費税は社会保障の重要な財源です。

 国民民主党が主張する一律が5%減税案では、政府の税収が年間で

 約13〜15兆円減となり、消費税でまかなっている年金・医療・介護などの

 費用が足りなくなり、今後増加が見込まれる社会保障費を何処で賄うのか。

 消費税減税はほんとに正しいか

このところの食料品や米の価格高騰で、消費税減税は望むところかも知れません。

ただし、財源が不透明なまま実施され、しかも国債依存がさらに進むと、

国債市場や為替市場で信認を失い円安、株安、国債安の日本売りに繋がりかねません。

消費税減税と金利の関係《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

いや、日本の国債は日銀や機関投資家が持っていて外国人の保有は少ないので破綻はしない。

日本は世界最大の債権国で、十分な資産もあり、

バランスシート上は問題がない、との見方もあります。

が、インフレや景気回復で、今後更なる「金利が上がる世界」に入る可能性が高まります。

そうなると、今までの低金利の時のように「赤字国債頼みでも大丈夫」は通用しなくなり、

財政が一気に苦しくなる恐れがあるのではと危惧します。 

3月27日の新聞記事が気になっております。

50年後2075年の日本は、GDPで世界11位、一人当たりGDPは世界45位です。

順位に拘るものではありませんが、この状況は果たして今より好ましいでしょうか。

50年後、子や孫の世代の人が何故こうなったのかと振り返った時、

あの時の選挙目当ての政策がトリガーだったかも、と言われたくないですよね。