今改めて注目すべきr>g

年間脱税額1兆ドルだって⁉

中学時代の社会の先生の話しを思い出してしまいました。

「この村は毎年虎に襲われ犠牲者が出る。隣の村は虎が出ないので移ればいいものをみんな移らない。何故か。隣の村の方が税金が高いからだ。」虎より怖い税金はできるだけ払いたくないのは、いつの時代も同じようです。

“現行の税法に従えば納税されなければならないはずなのに実際には納付されていない税収不足分、すなわち脱税額が年1兆ドルに達する。脱税額の大半は、米国の納税者の所得上位1%によるものだ。”

“トランプ前大統領はこれまで納税するどころか、何年にも渡り還付金を受け取ってきた。ナイキなど米最大手の企業55社は全く法人税を納めていない。 ”

<2021年4月23日日経新聞朝刊より>

米国バイデン大統領は、富裕層への増税を計画しているとのことです。それでも、年収100万ドルを超える富裕層の金融資産の譲渡益に対してです。譲渡益とは、キャピタルゲイン、労働収入によらない資産からの収益です。

 

トランプ前大統領もナイキも脱税ではなく法に沿った結果なのでしょうが、税金って、それ程納めたくないものなでしょうか。

脱税額1兆ドルって、日本円にすると今の為替レートで約108兆円です!

因みに日本の歳入は令和2年度が約128兆円。この中には赤字国債発行分も含まれます。日本の国家予算に等しい税金が徴収されていない。

年間100兆円以上の脱税なんて、流石アメリカと言うべきか、それとも徴税力の欠如と見るべきか。それに対し、労働所得からの徴税は自動化され漏れも少ないようです。日本のサラリーマンだって、源泉徴収できっちり引かれてますよね。米国民はどんな思いなのか聞いてみたい気がします。

 

格差は広がる一方

脱税の大半が所得上位者によるものです。しかも合法的な節税をした上での脱税なのです。富裕層とは、どういった人たちなのでしょう。

富裕層が持っているのは現金や銀行預金ではありません。お金持ち、富裕層が持っているのは、バイデン大統領が「金融資産の譲渡益に課税」と言っている株式等と不動産などの「資産(持っているだけで収益を生むもの)」です。

米国では、所得の多い上位10%が国民全体の所得(富)の50%近くを所有し、所得の低い下位50%が10%ちょいの国民所得を分け合っている構図です。独国や仏国も同様に、富める者はますます豊かになり、格差は広がるばかりです。

富裕層の中には年収が100億単位の人や、1年で何兆円もの資産が出来てしまう経営者もいます。そこまで多くなくても、米国には401K(確定拠出年金)でそこそこの金融資産を築いた人はたくさんいます。

 

労働収入と資産収入

例えば、金融資産1億円の人が年率7%の投資収益があり、年間500万円位の生活費で済むなら、資産は減るどころか増える一方です。

米国人にとって、7%の投資収益は決して絵空事でも、危ない投資でもありません。何故なら、米国の代表的な株式指数S&P500の30年平均リターンは9%以上です。

年平均リターンとは、毎年必ず9%になるということではありません。プラス54%、マイナス47%の年もありましたが、期間を平均すると9%になったということです。

億万長者にならないまでも「金融資産」を持つことで、労働所得だけに頼らない収益を得ることは誰にでも可能です。「労働からの収入」と、米国民のように「資産からの収入」2つの収入を持つことができれば、老後の生活は不安のない安定したものになります。

米国のプチ富裕層の「資産からの収入」を見ると、今改めて、注目しなければならないのは、r>gの式です。(r大なりg)「r」は資本収益率return、「g」は経済成長率growthです。フランスの経済学者トマ・ピケティが「21世紀の資本論」で著した不等式です。

 

r>gの意味するところは、資産からの収益「r」は労働収入「g」より大きい、と言うことです。

資産からの収入「r」の方が、労働から得られる収入「g」より大きいのですから、今後も両者の差はますます広がります。

 

(r)を取り込む

このような事実を知ってしまった以上、事実を受け止め「r」を取り込み「資産家」を目指さなければなりません。だからといって、特別難しいことをするわけではありません。

年率9%のリターン実績がある「S&P500の投資信託」を「確定拠出年金」や「NISA」で少しずつ積み立て購入する。1回で大金を投資すると、運悪く47%マイナスになるかも知れませんので、買う時期を分散した積立です。例え、年率9%でなくても、半分の4.5%でも毎月5万円の積立では10年後600万円が750万円になります。

米国のS&P500でなくて、世界株式や、日本株式も組み入れ投資先の分散も図ります。

株式からの収益は、債券や銀行預金に比べ長期には高い収益を生むのですから、「確定拠出年金」や「NISA」を通じて、株式投資信託を毎月買って行く。そうすることで、無理なくストレスフリーで長期には資産ができます。

資産からの収入(r)の比率を少しずつ増やして行き、リタイア後の年金プラスの収入に育てる意識を持つことを心がけて下さい。