資産運用成功の最大の妨げは、下落の恐怖による継続投資の断念です
突然ですが、「投資はなぜ失敗する」と思いますか。
えっ、失敗しませんか。
では、あの時〇〇しておけばと後悔したことはありませんか。
相場が悪くなると「みんなが売り始めた。」
自分も今のうちに売ろう。
景気が良くなると「みんな儲かっているようだ。」自分もやらなくては。
後から振り返ると「狼狽売り」「高値掴み」だったと後悔しきりです。
人間は利益の喜びより、損失の苦しもの方が倍以上大きく感じるそうです。
そのため、利益を得ることより損失を回避しようとする行動に偏りがちで、
「本能に従って行動すると失敗するのが投資」だそうです。
そうはいっても、人間は感情の動物。
「下がると怖いし、上がると今のうちに利益確定を。」と思うのはあたりまえ。
定期的に買い付ける「ドルコスト平均法積立」
安心して資産運用を続けられ、損失も回避できる方法があります。
「ドルコスト平均法」と呼ばれる「定時定額買付け」です。
決まった日に、同じ金額で買い続ける「定時定額買付け」を「ドルコスト平均法」と言います。
円をドルに換えるとき、為替の値動きを予測しないで同じリズムで買うところから来ています。
金購入法とも言われます。
値動きのあるものを買う(投資する)時は先の予測をせずに、上がっても下がっても値動きに関係なく淡々と買い続けることで、平均取得単価となり、高値掴みが避けられます。
下がって安くなった時に売るのではなく、逆に買うことができます。
毎月10,000円でiDeCoリンゴを積立てで買って行くと、値段が100円の時は100個(口)買えます。
2ヵ月目110円に値上がりするとiDeCoリンゴは90個です。同じように80円の時は125個、50円に下がると200個、70円に戻ると142個買えます。5ヵ月の積立て買付け合計で657個(口)買えたことになります。
リンゴの単位は〇〇個ですが、投資信託がいくつ買えたかは口数で表します。
投資信託では、iDeCoリンゴの値段を「基準価格」と言います。
◆購入口数=買い付け金額÷買うときの値段(基準価格)です。
上の図をよく見て下さい。
下がったときは、より多く買えていますよね。
50円に下がったときは、同じ10,000円の投資でも100円のときに比べ口数が倍買えています。
逆に、110円のときは90個しか買えていません。
値段が高くなると口数は少なくなります。
普段の買い物でも一緒ですよね。値段が高いときは買い控えますよね。
安くなればバーゲンセールですから買い溜めができます。
「ドルコスト平均法」による定時定額買付けでは、安い(下がった)ときに確実に買うことができます。
今まで積み上げた口数に売るときの基準価格を掛けると評価額が分かります。
◆投資成果=売却時の値段×累計口数
価格変動のあるものを買うときは「ドルコスト平均法」を使い、なるべく長い期間積立買い付けをすることで、一括購入よりは、失敗の少ない買い方ができます。
ドルコスト平均法なら下がっても結果が出る
1989年12月の日経平均の終値は38,915円でした。日本の株価が一番高かったのは今から30年以上前です。
1990年の幕開けから日経平均は下がり続け、未だに最高値まで戻していません。
バブル崩壊と長期停滞が続きます。
1990年に一括投資していたなら、2020年未時点でもまだ29%も下がったままです。(下図の黒い折れ線)
ところが、この間一括購入ではなく日経平均に連動する投資信託で積立てをしていたなら、マイナスにはなっていません。(青の折れ線)
352ヵ月=352万円の積立元本に対し、積立投資の資産価値は517万円です。
日本株投資の場合に限れば、1990年に一括で買うよりは積立で購入していた方が結果が良かったことになります。株価がずっと下がり続け、最高値に戻らない状況でも投資成果は、積立元本の1.62倍です。
下の図は、1990年から2020年まで毎月10,000円を日本株と外国株に50%ずつ積み立てたときのものです。
この間、株価はバブル崩壊や2000年のITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、2020年コロナショックによる大きな下げに何度も見舞われました。
投資結果は31年で累計積立額372万円に対し、なんと3倍以上の1,167万円になっています。日本株と外国株に半々投資の年平均リターンは6.6%でした。
「ドルコスト平均法」は時間をかけて、投資時期の分散です。
もうひとつ、「投資先の分散」を図ることで更に値動きのブレを少なくし、安定した投資結果をもたらします。
本能に従わない投資方法が「ドルコスト平均法」
「ドルコスト平均法」が万能と言うわけではありません。
3%5%のリターンは可能です でもご紹介した米国の株式指数S&P500は30年間の平均利回りが9.3%でした。
仮に30年前に、このS&P500に360万円を一括投資していたなら、30年後いくらになっていたと思いますか。
5,186万円です。
今度は毎月1万円を30年間(累計積立額360万円)「ドルコスト平均法」で積立てると、30年後いくらになっていたと思いますか。
1,730万円です。
最初に360万円が準備できたなら、30年ほったらかしにできるなら、9.3%の利回りが確実に見込めるなら、一括投資の方が勝ります。
ただし、一括投資は条件が付きましたね。
〇〇円が準備できたなら、ほったらかしにできるなら、〇%の利回りが確実なら・・・
結構ハードルが高くありませんか。
「ドルコスト平均法」による積立投資はリターンを高めるものではなく、安心して投資を継続するためのやりかたです。「本能に従って行動すると失敗するのが投資」なら、「ドルコスト平均法」は安心の仕組みと言えます。
『下落時はたくさん買える嬉しい→安心→継続→成功』 積立てなら合理的な行動が自動的にできます。
下がった時に買いそびれることもありません。
しかも、一活投資のようにまとまったお金はいりません。
「ドルコスト平均法」積立ては、誰にでもできる合理的で堅実な投資方法です。
「確定拠出年金」や「NISA」口座を使った積立は、非課税メリットのおまけまでつきますので、投資効果は更に大きくなります。