ユニバーサル・クレジット

 「静かな災害」級の人口減少

総務省の人口動態調査によると、日本の人口は120653227人で前年から90万人減少し、16年連続のマイナスです。90万人は和歌山県の人口87.6万人に近い数字で、1年で日本の中から一つの県が消滅したようなものです。

日本人が90万人減少する一方で、

外国人は35万人増加しています。

けれど、差し引きでも鳥取県の人口52.5万人を

超える規模の減少です。

 

因みに、生産年齢人口でみると、

日本は59.0%外国人は85.8%と、

日本人を大きく上回ります。

日本に居る外国人は

働き手として大きな戦力と言えます。

人口減少の原因は、出生率の低下です。

24年の出生者数686081人は、過去最も少なく、

合計特殊出生率は1.15%です。

2016年に出生数100万人を割り込んでから,

出生数減少は急速に進んでいます。

少子化による生産人口減少は、労働力不足、社会保障制度の持続、

経済成長の維持が困難になるなど

「災害」と言われるほど国力を揺るがす大問題です。

 少子化の最大原因

少子化の大きな原因は未婚化、晩婚が進んだ分だけ

出生数が減っていることにあり、

その大きな要因として、経済的な理由があげられます。

女性が結婚相手に求める年収は400万円以上が多いのですが、

現実は適齢期男性の年収は400万円以下が圧倒的に多く真逆です。

結婚相手に求める年収《平賀ファイナンシャルサービシズ(株)》

年収400万円以上の男性の未婚率が低いことは頷けます。

未婚率と年収は相関しています。

日本の場合、出生数は婚姻数と比例しますので、

少子化の最大の原因は「結婚するには収入」が、大きな課題と考えられます。

経済的な問題を少しでも和らげ、結婚への階段を上るには何が足りないのか。

現状の「異次元の少子化対策」は子供のいる世帯に対する支援であって、

これから結婚して子供を設ける人達への施策ではありません。

『いかに既婚者を増やすか』の施策は見当たらにように思えるのですが。。。

 ユニバーサル・クレジット

英国で2013年から導入されているのが「ユニバーサル・クレジット制度」という新しい生活保護制度です。

ユニバーサル・クレジット(UC)は従来バラバラに提供されていた

求職者手当、雇用・サポート手当、所得補助、住宅手当、児童扶助等を

一本化して、月次で支給する包括的な給付制度です。

導入の目的は、複雑で不効率だった従来の体系を簡素化し、

制度の取りこぼしや未請求をなくすことと、

働くより給付に頼った方が得とい言った「働き損」を減らし

就労インセンティブを高める仕組みとあります。

例えば、独身者で家賃補助が必要であれば、

標準報酬月額を見ての補助額となり、

子供2人の世帯で賃貸なら標準報酬を鑑み、

子ども手当と合わせて給付額が決まります。収入の増加と共に減額していく。

ユニバーサルとは「万人に共通の、すべてに当てはまる」といった意味を持ちます。

 勿論、問題や課題もありますが、

主眼は一人ひとりに、世帯に即したより細やかな生活保護、

セイフティーネットを目指したものです。

自民党総裁選で、ある候補者が「ユニバーサル・クレジット」を提案しています。

『ヨーロッパの先進国を参考に、保険料と税負担の両方を把握して

その世帯のライフステージに応じた支援を検討できる仕組み』とあります。

にわか仕込みの知識ですが、年齢や、生活形態にかかわらず、必要なところを見逃さずに届く支援は、減税や一時的な給付金よりは好ましいと思います。

鍵となるのは、「保険料と税負担の両方を把握して」です。

ここが最大の関門でしょうが、

今の日本にこそ、一番必要なのではないでしょうか。